社会保険・労働保険関係

令和3年度の労働保険年度更新と算定基礎届

今年も「労働保険年度更新」「健康保険・厚生年金保険 算定基礎届」の季節が近づいて参りました。

「年度更新」「算定基礎届」と耳にはするけど、いったいどんな手続きなの?という方も多いかと思いますので今回は2つの手続きについてご説明致します。

労働保険年度更新

労働保険料は「労災保険料」と「雇用保険料」の総称で、事業所で雇用するすべての労働者に対して支払う(支払った)賃金の総額と保険料率(労災保険料率・雇用保険料率)※から決まります。

※各保険料率は事業の種類によって異なります。

 

労働保険料は概算で算出した保険料【概算保険料】を前払いで納付し、翌年度に実際の保険料【確定保険料】を算出し、精算するという方法を繰り返していきます。

その手続きが「労働保険年度更新」です。

 

概算保険料の計算方法

『年度内に支払うであろう見込みの賃金総額』×『保険料率』で【概算保険料】が算出されます。

納付は基本的に一括で行いますが、概算保険料が40万円以上の場合は3分割での支払が可能です。

※労災の特別加入をしている事業所は金額に関わらず分納が可能です。

 

確定保険料の計算方法

『前年度に実際に支払った賃金総額』×『保険料率』で【確定保険料】を算出します。

 

  • 前年度に納付した【概算保険料】と比較し【確定保険料】が少ない場合

前払いした概算保険料が実際に支払うべき確定保険料より多かった、ということになりますので、余分に納付した保険料については翌年度の概算保険料に充当することができます。

 

  • 前年度に納付した【概算保険料】よりも【確定保険料】が多かった場合

実際に納付すべき確定保険料に満たない額しか納付していなかった、という事になりますので、不足分は翌年度の概算保険料と合算して同時に納付します。

 

一般拠出金

石綿(アスベスト)による健康被害者の救済費用に充てるための拠出金で、すべての労災保険適用事業主が業種を問わず同率(1,000分の0.02)で負担しています。

一般拠出金は、確定保険料の申告と同時に申告・納付します。

 

【令和3年度】年度更新の提出期間

令和3年6月1日~令和3年7月12日です。

令和3年度に関しては、令和2年度のような延長措置はないため、ご注意ください。

 

【令和3年度】年度更新のガイドブック(継続事業用)

対象となる給与やその他の詳細、記載例などについてはガイドブックを参考にしてください。

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/2020/dl/keizoku-cover.pdf

※建設の事業や立木の伐採の事業の年度更新は、労災保険に係る分と雇用保険に係る分とをそれぞれ別個に作成することになります。ガイドブックも継続事業用と異なります。

 

5月下旬頃、労働局より「緑色の封筒」で年度更新用の書類が事業所宛に届きます。お手続きを社労士事務所に依頼している方は、まずは社労士事務所に一報を入れましょう!

 

算定基礎届(定時決定)

被保険者が事業主から受ける給与などの報酬月額を区切りの良い幅で区分(等級分け)し、保険料を計算しやすくしたものを【標準報酬月額】と言います。

【健康(介護)保険料】や【厚生年金保険料】は『標準報酬月額』×『保険料率』で算出します。

被保険者が実際に受ける賃金とすでに決められている標準報酬月額に大きな差が生じないよう、毎年1回、4月~6月に支給された賃金を算定基礎届によって届け出し、3カ月間に支給された賃金の平均額から標準報酬月額を決定します。

この手続きが「定時決定」です。定時決定した標準報酬月額は基本的に翌年の8月まで適用されます。

 

算定基礎届の対象にならない人

・6月1日以降に資格取得した人

・6月30日以前に退職(7月1日以前に資格喪失)した人

・7月変、8月変、9月変に該当している人

 

支払基礎日数が17日以上の月が対象

支払基礎日数とは「その賃金を計算する際の基礎になる日数」を指します。

日給や時給の人 ➡ 実際に出勤(稼動)した日数

日給月給の人 ➡ 暦日(欠勤控除がある月は所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数)

支払基礎日数が3カ月とも17日以上であれば、3カ月間に支給された賃金総額を「3」で割った額が報酬月額となりますが、17日未満の月がある場合はその月を除いた月数で割って算出します。

3カ月とも17日未満の場合は従前の標準報酬月額が翌年の8月まで適用されます。3カ月間で勤務日数が少ない(賃金が低い)月があっても、「17日以上の出勤がないと標月が下がらない仕組み」になっているわけです。

※パート・時短労働者で17日以上の月が1ヵ月もない場合は15日以上の月で算定します。

 

保険料の変更

定時決定で標準報酬月額の改定がある場合、その年の9月が「改定月」となります。

9月分の保険料から標準報酬月額が改定されますので、10月支給の給与より変更後の保険料で徴収開始です。

※当月徴収している会社は9月支給分から変更です。

 

【令和3年度の主な改正】算定基礎届総括表の廃止

令和3年度の定時決定から「算定基礎届総括表」が廃止となります。

総括表には社会保険未加入者の勤務状況を記載する必要があったため、総括表を作成するタイミングで社保未加入者の勤務状況を把握し、加入漏れがないか確認することが出来ていました。

今後は「週30時間を超えて勤務している未加入者がいないか」日頃から注視していく必要があります。年金事務所の調査に当たった時に焦ることが無いよう、ご留意下さい。

 

【令和3年度】算定基礎届の提出期間

令和3年7月1日~令和3年7月12日です。

 

【令和3年度】算定基礎届のガイドブック

その他の詳細や記載例についてはガイドブックを参考にしてください。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/guide.pdf

※6月中旬頃から年金事務所より「茶封筒」に入った算定基礎届についての封書が届くかと思います。こちらも社労士事務所に依頼している方は、一報を入れておきましょう!

 

 

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