組織マネジメント

小規模企業のための「社員が辞めないために会社としてやるべきこと8選+α」

中小企業が定着率を上げたいのなら、社員が辞めたくなる理由を少しでも減らしていくことが大事です。しかしながら、社員の定着を語るのはさまざまな要因を把握する必要があるため、一概に語ることは難しい・・。以前のブログでも同じようなことを書きましたが、そのさまざま要因のなかで、やはり「会社側があらゆる努力をしていること」が大前提であり、その結果、社員が辞めてしまうのであれば、やむを得ないことであり、「割り切っていくこと」も時には必要でしょう。ただ、割り切ってしまう前に「会社としてやるべきことをやっていたのか」を経営者が自分自身に問う必要があると思います。今回は社員が辞めないために会社としてやるべきこと8選+αをお伝えします。

会社としてやるべきこと8選

給与及び昇給

まずは同業他社と比べて少しでも高い水準を目指す必要はあるでしょう。その次に可能であれば、大企業や中規模企業に準ずるような水準に近づけることができればなお良しです。少しでも多く支給できるよう付加価値の高い仕事を創り出し、単価の高い仕事を獲得できるよう(そこが難しいのですが・・)たゆまぬ努力と模索を継続する必要があります。

賞与

上記給与と同様です。中小企業では賞与を支給していないところは多いかもしれませんが、そこに甘んじていてはいつまで経ってもまともな採用活動はできません。

人間関係

大事なのは「マネジメント能力がある人を管理職として配置しているかどうか」です。ここでいうマネジメント能力とは、問題解決能力があること(情報や人などの対象と正面から向き合えること)を指します。もちろん、採用選考(入口管理)を厳格化していけば、マネジメントフリーに近い自律的な組織を構築することは可能です。ただ、そのハードルがめっぽう高いのも現実です。また、数名以上を毎年採用するような企業においてはさらにそのハードルは高くなります。そのため、マネジメント能力がある人を管理職に配置しているかどうかが重要になってくるのです。この能力がある管理職を配置しないと、以下のような事態を招くことになります。

・チームの雰囲気が不穏になってしまう
・管理職自体がハラスメントをしてしまう
・部下がハラスメントをしたり・されたりしていることに関して無関心で、組織やチームを正常化するための取り組みを行わない
・部下の能力を適正に見極めることができず、無用かつ肩に力の入った無駄な指導を行ってしまうことによって部下の早期退職を促してしまう などなど

言い出したらキリがないぐらい様々な問題が噴出していきます。これらの問題となる事態を招くのは「管理職のマネジメント能力が不足もしくは欠如していること」が要因です。

組織やチームが崩壊してしまうような場合は、その管理職にマネジメント能力があることを疑い、外部の力を借りてでも適正な昇格試験を実施することが望ましい、といえます。Noppoお勧めの昇格試験を知りたい方は、問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

労働時間

まずは適正な労働時間管理をしているかどうか、社員も納得するような残業代の支払い方ができているかどうかを精査しましょう。そのうえで、一定の社員に偏りが生じているのなら仕事の配分を見直したり、無駄な仕事をしていないかを上司が把握して効率化を図るなどして、できるかぎり労働時間を短縮する取り組みを行い、残業が常態化しない就業環境をつくることが必要です。ただ、労働時間がある程度長くなったとしても、年収が高い労働者であれば不満要因に繋がらないということもあるでしょう。

休日

一般的に労働者側は多ければ多いほど良いと思うわけですが、会社にとっては休日が増えれば増えるほど、労働者が売上を稼ぐ時間が減ることになってしまいます。給与や賞与と同様に大企業と同じような条件にすることはできませんが、同業他社と比べて遜色のない水準に近づける努力をする必要があります。

年次有給休暇

労基法上、年次有給休暇を10日以上付与する人については、付与日から1年以内に最低5日間は取得してもらう必要があります(2019年4月法改正)。それを取得してもらうことは「最低限の対応」として、心身をリフレッシュしてもらうためにも一定の休暇を取得できる職場環境をつくることは重要です。年休の残余分を退職時に一括取得されるぐらいなら、定期的に取得してもらって、心身が健全な状態で仕事に取り組んでもらうほうが生産的かつ健全だと思います。

休憩

法定(6時間超で45分、8時間超で60分)の休憩が取れているかどうか。もし取れていなければ、取るための工夫が必要でしょうし、どうしても取れない事情があるとしたら、法律上は取らなければいけないことを重々承知のうえで、社員が納得するような労働時間分の給与を支払わなければ不満は募るでしょう。また、何らかの出来事でストレスが高まった拍子に退職の決断をする可能性も否定できません。

本人の志向と仕事がかみ合っていない

体を動かすような仕事がしたいのに事務仕事をさせられたり、人との接点が多い仕事がしたくないのに接客業をしたりすれば、その人はいずれ疲弊してしまうでしょう。面接においても、良いところばかりではなく、会社の悪いところも散々伝えたうえで、入社するかどうかを判断してもらったほうが入社後のギャップも少なく済んで良いと思います。

+α~処遇の決定には「プロセス」が大事~

社員から「ちょっと話したいことが…」と声を掛けられ、ドキッとした経験をお持ちの経営者や管理職の方は多いのではないでしょうか。私もそのひとりです(逆に、「よしっ!」と思うのであれば、関係性は末期状態ですし、運が良いとも言えるかもしれません)。大事な社員から「辞める」と告げられるのは、大好きな人から別れを告げられるぐらいショッキングな出来事だと思います。私も今の職員の誰かに辞めると告げられたら、さーっと血の気が引き目の前が真っ暗になってしまうことは間違いありません。

ただ、もしそうなったとしても、後悔のないような行動や判断をし続けたい思いますし、そのために昇給、賞与等の決定については、下手すると1か月以上もの間、悩み続けます。悩み過ぎ・時間の掛け過ぎかもしれませんが、経営者ならではの「答えのない重要な仕事」ですし、そのプロセスに労力を掛ければ掛けるほど、もし別れを告げられたとしても「やるべきことやってきたしな…」とまた前を向いて歩けるように思います。とはいえ、心底落ち込むことになるとは思いますが…。

管理職業務のみならず、実務を担っている(いわゆるプレイングマネージャーでもある)中小経営者は多いでしょうし、売上の拡大や新規顧客開拓などやるべきことが山積みとなっている中で、社員の処遇を検討するのは本当に負荷のかかる業務です。それを効率化(もしくは楽を)しようとして、賃金制度や人事評価制度を導入する企業も中にはあると思いますが、重要なのは、「個々の行動群と真摯に向き合い続けたうえで決定するプロセスそのもの」ではないでしょうか。そして、そのプロセスがあれば、結果を告げる面談時にも「納得できる言葉」を本人に渡すことができるのだと思います。

さいごに

労使双方がお互いの価値観も異なる中で常に満足のいく関係性を築くことは、夫婦がお互いに不満を持つことなく暮らしていくのと同じくらいハードルの高いことです。ただそれも、事前にある程度の時間をかけて価値観のすり合わせをしたり、管理職の方が相手の欠点も含めて認めることができれば、ハードルの高さも変化するでしょう。

私も未熟な自分自身の行動や言動に辟易することはありますが、それでも背負った責任を全うするため、(自分の本質は変わらないので)自分を制御しながら頑張っているところです。組織の問題に悩みは尽きません。ただ、自分自身に問うこと、そして、労働者本人に問うことから目を背けずに向き合い続ければ、きっと答えを見出すことができるはずです。

ABOUT ME
社会保険労務士 養父(ようふ) 真介
福岡生まれ大阪育ち、東京都杉並区在住。◆大学3回(年)生の1998年に社労士資格を独学で取得。◆コネなし・経験なし・僅かな資金で2008年に独立。◆2009年より介護福祉業界に注力。◆2010年に「人の問題解決」に必要な根幹技術となる「アセスメントセンター」という「能力診断技法」と出会い、数百時間にも及ぶ「人を見極める」という機会を得て、多くの組織が抱える悩みの根源を知る。◆その後、その知見を活かし、クライアントの組織で発生するさまざまな「人の問題」への対応方法について具体的な解決手段を提示し、組織を健全に保つ手助けを生業としている。◆社会保険労務士法人Noppo社労士事務所 TEL:03-6454ー6083 ※お電話の場合、まず職員が対応しますので、「ブログを見て問い合わせた」とお声がけ頂けるとスムーズです。
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