『風邪やインフルエンザ等に罹り、「医師の診察を受けず」自宅療養をして完治してしまった場合には、傷病手当金の支給を受けることができるのか?』
この点は新型コロナウィルスの感染者が増え始めたころからの疑問であり、協会けんぽにも問い合わせをしていましたが、明確な回答が厚労省から出ましたので人事労務担当者にとって重要な点を抜粋してお伝えします。
Q&Aの全体はこちら https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf
アンダーラインは筆者が重要と思う部分です。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A(抜粋)
Q3 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
Q4 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた期間については、労務に服することができなかった期間に該当するのか。
A 従前より、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載した場合には、初診日前の期間についても労務不能期間となり得ることとしている。
今般の新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安として、
・風邪の症状や 37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む。)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
のいずれかに該当する方について、「帰国者・接触者相談センター」に相談し、相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合に、「帰国者・接触者相談センター」から紹介された専門の「帰国者・接触者外来」を受診するよう示していることを踏まえると、上記のような発熱などの症状があるため被保険者が自宅療養を行っていた期間は、療養のため労務に服することができなかった期間に該当することとなる。
なお、やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。
Q5 発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた方が、休職して4日目以降に帰国者・接触者相談センターに相談したものの、体調悪化等によりその日には医療機関を受診できず、結果として、その翌日以降、医療機関を受診せずに病状の改善が見られた場合には、傷病手当金は支給されるのか。支給される場合、医師の意見書を添付することができないが、何をもって労務不能な期間を判断するのか。
A 傷病手当金の支給対象となりうる。
本問のように、医療機関への受診を行うことができず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。
制度を詳しく知りたい方は「協会けんぽ」のページへどうぞ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/
支給申請用紙について
申請用紙については、以下のとおり1~4ページあります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/g2/cat230/190531/k_shoute.pdf
医師の診察を受けていなければ、「4ページ目を記載できない」ことになり、あとは、「事業主が添付する証明書類」として、3ページ目に、発病の状況や勤務状況を○✕等で記載して、申請することになります。出勤簿や賃金台帳は、協会けんぽ東京支部の場合、従前と変わらず不要です。逆に、出勤簿や賃金台帳を提出することによって、3ページを記載しないで良いことにはなりませんし、以下の通り返戻になってしまうのでご注意ください。
まとめ
このQ&Aがでたことによって、ひとまず自宅療養を指示した方の中で、年次有給休暇が余っていないときに、傷病手当金を受給してもらうという選択肢を確実に伝えることができるのは朗報かと思います。また、待機期間の3日間については年休が余っていなければ、欠勤控除せざるを得ませんが、状況が状況なので特別休暇を与えることも一考に値するかと思います。