採用

人を雇うか否かの判断~はじめて人を雇おうとする方へ~

「人を雇ってなんぼ」
「人を雇うことが社会貢献」
「人を雇うことが会社としての成長」
という言葉をこれまで幾度となく耳にしてきました。

「人を雇うことがどれだけ大変なことか」
を日々クライアントの相談を受けていて認識
しているだけに敢えていえば、「人を雇わない」
という選択肢も当然あっていいと思います。

実際、ご相談の際、「人を雇わない」という判断の
背中を押してあげることもしばしばです。

社労士として仕事には繋がらなくなりますが、
ご相談者にとっての最適解を提供するように
心がけています。

「人を雇わない」という選択肢

「人を雇わない」という選択肢自体は、
決して楽なわけでもなく、業務の一部を外部の人に
頼ることもできますが、費用を掛けたくなければ
すべてを自分でこなす必要がありますし、それは
それで大変な道のりです。

どちらが素晴らしいとか優秀だとかというわけ
でもないでしょう。

どちらも大変だし、自分がしたいようにやれば
いいと思います。

人を雇う際の決定打は、売上が長期安定的に伸びている
ということも当然のことながら、自分の心の声に従うことです。

ついつい世間体や社員数が多いほうが立派だとか、
社会貢献しているだとか、他人の目を気にした
ような判断をしてしまうと、不幸な結果を招く確率
が上がるように思います。

私が人を雇うという選択をした理由

私自身は人を雇うことを選択しました。

理由は、手続き業務や申請代行業務を短期的かつ
単発的にこなしていくことはできるのですが、
長期的かつ安定的にアウトプットしていくという
自信がないからです。

社労士は、クライアントと社会保険や労働保険関係の
手続き、給与計算等を含めた顧問契約を締結すること
で有難いことに「長期的に」一定の売上をあげること
ができます(労務のサブスクみたいなものです)。

そして、そのためには、長期的かつ安定的なアウトプット
が大前提となります。

しかし、残念ながら、私にはそれを着実に実行していくだけ
の意識が自分には足りないことを十分に自覚しています。
だからこそ、その点をカバーしてくれる人材を雇う必要が
ありました。

また、そのような人材を採用することで、私自身は、新規の
相談、採用やリスクマネジメントの相談、人事制度やルール
づくり等に集中できる環境をつくることができます。

人を雇うということは、人件費が発生するということであり、
「はじめて人を雇う」という場面においては、これまで
そのまま自分の利益だったものが吹き飛ぶことになります。

月額25万の給与を支払えば、単純計算でも300万以上に
なりますし、残業代、賞与の支払い、法定福利費や経費等を
考慮すれば、実際はそれどころではありません。

人を雇うという経営判断の重さ

採用は、はじめて採用する方が想定している以上に
「失敗する確率が高い」のです。この現実を理解
しているのは「適正な選考手法」を導入できている
ごく僅かな会社のみでしょう。

そのため、世の中には残念ながら「安易な採用」が
溢れているようにも思います。

新型コロナの影響によって、流行前と異なり、
採用する会社側にとっては追い風であり、求める
職種によってはかなりの応募が見込めます。

しかし、多くの応募者が見込めたとしても、
大事なことは「人を選び抜けるかどうか」です。

希望と期待を抱きながら決行する採用が、
自分の会社なのに出社拒否したくなるような
悲しい結末にならないことを切に願うばかりです。

そのためには、もう一度その採用をするという判断が
自分にとって正しいのか、また、採用をしたとしても、
入社してくれる人に対して、逃げずに向き合い続ける
ことができるのかを心に問い直して決断してもらいたい
と思います。

そうすれば、もし失敗したとしても、その採用を後悔
するということはなく、今後の人生の糧にできるでし
ょうし、次の採用の選考手法を適正に近づける努力を
するキッカケにも繋がると思います。

私が人を雇うと決めたもう1つの理由

それは、私が「社会保険労務士」だからです。
当事務所には本当にさまざまな「人に関する相談」
が持ち込まれます。

「採用した社員に全く意欲を感じないが
どうしたら良いだろうか?」

「応募者の面接をし、このような点が気になる
のですが、どう思われますか?」

「うつ病を発症した社員がいるのですが、
今後どのように対応したら良いでしょうか?」

「いきなり未払い残業代を請求してきた社員
がいます。書面での回答を求められているのですが
どのように対応したら良いでしょうか?」

「問題行動を頻発させる社員がいるのですが、
解雇は可能なのでしょうか?」

などなど。

相談をされる経営者や人事担当者の方々は、
労働法や社会保険法関連の専門知識を求め
てくるというケースは多いのですが、実際
その専門知識で対応できる部分は限定的です。

というのも、多くの相談者は、いま対面して
いる「個別の人の問題」についてどのように
対応すれば良いかという点で悩まれていて、
法律上の話は、必要条件ではありますが、
十分条件ではないからです。

不安に駆られて相談をされる方に対して、
親身になって応じることは顧問として
当然の行動とは思いますが、相談する相手が
親身になってくれていると感じなければ
意味はありません。

そういう面では、やはり、人を雇うという
経験をし、人を雇うことのリスクを肌で感じ、
人を雇うことの難しさを実感し、さまざまな
苦労をするからこそ、相手の立場に立って
相談もできるようになるのではないかと思います。
少なくても、私は相手と同じ立場に立たないと
中々実感がわきづらいと感じています。

これが私が人を雇うと決めたもう1つの理由です。

ABOUT ME
社会保険労務士 養父(ようふ) 真介
福岡生まれ大阪育ち、東京都杉並区在住。◆大学在学中の1998年に社労士資格を取得。◆コネなし・経験なし・僅かな資金で2008年に独立。◆2010年に「人の問題解決」に必要な根幹技術となる「アセスメントセンター」という「能力診断技法」の専門家を擁する概念化能力開発研究所の奥山氏と出会い、数百時間にも及ぶ「人を見極める」という機会を得て、多くの組織が抱える悩みの根源を知る。◆その後、その知見を活かし、クライアントの組織で発生するさまざまな「人の問題」への対応方法について具体的な解決手段を提示し、組織を健全に保つ手助けを生業としている。
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