それは、経営者が経営者になるときに「人の見極め方を学ばなかったから」でしょう。
多くの人が先入観や偏見で人を見てしまい、間違った対応(採用やマネジメント)をしています。
今、経営者にしても働く人にしても、本当に求められることは、まず人を見極める技術を身に付けることだと思います。
そして人を見極めるときに重要なことは、「仕事ができるとはどういうことか?」をきちんと理解することです。
「知識や経験が豊富だから仕事ができると思った」
「話している内容が理路整然としていて頭がいいと思った」
「元気にハキハキと話し、反応も素早いので採用した」
巷ではこのような話があちらこちらで起こっていますが、これも「見極めるべき能力」というのをきちんと把握できていないから起こることなのです。また、「仕事ができる」という点においても、その人が「作業領域で仕事をしている人」なのか、「作業領域以外で仕事をしている人」なのかを把握した上で判断しておかないと、仕事ができるという点においても、誤って「仕事ができる」と認識してしまいます。そのチェックポイントとしては、「仕事はできるんだけど、人間性が・・」と思ったら、本当にその人が仕事ができる人と言って良いものかを見直すときです。
経営者は最低限この「人を見極める技術」を身に付けていかなければ、この先の経営において、ある程度は運よく労使トラブルを避けることはできても、いつか必ず問題に直面することになるでしょう(いま他責の人や自分にしか関心がない人が非常に多くなっているという現実にどれだけ早く気付けるかは重要です)。
もしかすると、いまの組織においてもその種は既に育っているかもしれません。
よく「労使トラブルは突然起こります」という専門家もいますが、決して「突然」ではありません。
その前の段階で発生している小さな問題を単に見過ごしているだけで、人を見極めることができおらず、
「人ってこういうもの・・」
という曖昧な捉え方をしていたり、
「人には良い面と悪い面がある・・」
という最終的な判断がつかない考え方をしていたり、
「自分にも悪いところがあったかもしれない・・」
と下手に自分を責めていたりして
(このケースも非常に多いのですが、見極め時は一旦引っ込めましょう。)
正しく問題を認識できていないのです。
経営者が収益のでるビジネスモデルを構築しなければならないことは当然の話ではありますが、それと同時に、そのサービスを実現していくための安定的で生産性の高い組織づくりに目を向けていかなければ、すべてが絵に描いた餅になります。
自ら考え、自ら動ける人のいない組織において、いくら短期的に売上を稼ぐことができたとしても、「基礎が脆い土台に建物を立てるようなもの」であり、その後の行方はご想像のとおりです。
事業拡大を望む起業家には、取り返しのつかない状態になる前に、少しでも早く「人を見極める技術」を身に付けることをお勧めします。